青森県生協連理事会「共謀罪」の衆議院強行採決に抗議」を決議
青森県生協連(青森市柳川町)理事会は、2017年5月31日に開催した県生協連理事会において、自民・公明・維新の3党が、5月23日衆議院本会議で「テロ等組織犯罪準備罪」を強行採決したことに抗議し、共謀罪の参議院での徹底的かつ慎重な審議と、政府の国民に対する懇切丁寧な説明を求める決議を行い、同日付で、安倍晋三首相と伊達忠一参議院議長に下記の抗議声明を送付しましたのでご案内します。
<送付した抗議声明>
共謀罪の創設を含む「テロ等組織犯罪準備罪」の国会審議について、衆議院の強行採決に抗議し、参議院では慎重な審議と、政府の国民への丁寧な説明を求めます。
現在、共謀罪の創設を含む「組織的犯罪防止法改正法案」(以下、「共謀罪」という。)が国会に提出され、審議されています。自民・公明・維新の三党は5月19日、審議時間が30時間を超えたことを唯一の理由として衆議院法務委員会の審議を一方的に打ち切り、委員会採決を強行しました。さらには国会内外で高まる強行採決への抗議を無視して、自民・公明・維新の数の力で5月23日に本会議採決を行い、衆議院を通過させました。
青森県生活協同組合連合会理事会は、こうした共謀罪を巡る強権的な国会運営に大きな不安・不信を抱かざるを得ません。
共謀罪は、組織犯罪を計画することを取り締まり対象としています。犯罪が計画されているかどうかを調べるということは、人々の会話やメール・SNSなどの通信内容を日常的にチェックしていくことになりかねません。こうした行為は、憲法が保障する「思想・良心の自由」など基本的人権を侵害する恐れがあります。こうした懸念から、共謀罪は過去3回国会に提案されたものの、その都度廃案になっています。
今回の提案では、従来の国連の越境組織犯罪防止条約批准のための法整備に加え、東京オリンピックを控えてテロを含む組織犯罪の未然防止を図ると説明しています。しかし、適用対象277の犯罪には著作権法・森林法など、テロ行為・越境組織犯罪いずれにも関係がないものが多数含まれており、むしろ「計画」「準備行為」の定義の曖昧さから正当な抗議活動の抑圧など恣意的な法律運用の可能性が日弁連や多くの人権団体などから指摘されています。このように、広範な団体から多くの問題点が指摘されている法案にもかかわらず、これまでの国会審議では、問題点の解明が全く行われないばかりか、金田法務大臣をはじめとする政府答弁はより一層不安と不信を増大させるばかりでした。
組織犯罪を防止する法整備が必要だとしても、法案に問題があるならば、その指摘に耳を傾け、真摯な討議で問題を克服することが国会の役割であると思います。とりわけ、日本国憲法が定める「基本的人権」と「近代刑事法の原則」からみて重大な疑義が指摘されている点については、より丁寧な説明と慎重な審議が求められるはずです。
青森県生活協同組合連合会は、日本国憲法を尊重し堅持する立場から、共謀罪の参議院での徹底的かつ慎重な審議と、政府の国民に対する懇切丁寧な説明を求めるものです。
以上、決議します。
2017年5月31日
青森県生活協同組合連合会理事会
<問い合わせ先>
青森県生協連 事務局 電話:017−766−1521
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